オーブ弐拾壱 答は見えているんです 見えているんだけど、とうぜん網膜上にはピンぼけの状態で投影されていますし、 目のすぐ近くですから、片眼のみにしか見えていません そういう見え方はどういうふうに認識されるでしょうか 答は二つで、見えているが気にしていない、か、見えているが、近くになにかあるくらいにしか思っていない、です そして、何かあるなと思ってよく見ようとすると、見えなくなります よく見ようと目を動かした場合、中心窩で見ることになりますが、 中心窩はピンぼけの微妙な明るさの違いを認識する能力がありません これが理由の一つですが、実際の所はもう一つの理由によるものの方が多いと思います すなわち、その埃は次の瞬間(次に光る時)にはそこにいない、というものです 埃は大気より重いにかかわらず、大気中を浮遊しているのですから、大気の動きに敏感です 例え無風状態であったとしても、人間の体温が原因の熱対流や、瞬きによる空気の動き、 あるいは眼球の動きによる空気の動きでさえ、埃を視界から運び去ることが出来るかもしれません 若しくは、睫毛に引っかかって睫毛と区別がつかなくなる(次に光るのが無くなるか、光りっぱなしになる)とか もっとも、カメラに写ったカメラのレンズの直前の埃そのものは人の目では見えないのは当たり前なんですけどね なぜなら、それは人の目の直前にはないからです つづく