オーブ拾八 錐体は明所視を司り、桿体は暗所視を司るとよく言われますが、錐体の外節には視物質というタンパク質 が蓄えられており、そのアミノ酸配列の違いで錐体のもつ吸収波長特性が異なります その種類としては、紫外型・青型・緑型・赤型があるようですが、哺乳類はその初期において青型と緑型 を失ったとされています 現生哺乳類の多くが色盲であるとよく言われますが、実際には紫外型と赤型の錐体により2色型色覚を持つ ものが多いようです 霊長類の場合は、紫外型の吸収域が青色側にシフトし、それに加えて赤型から変異体として派生した新緑型 とも言うべきものが緑型の吸収域をカバーするようになった結果、3色型色覚を持つようになったと言われています このように、人間の場合は3種類の錐体があり、各錐体がそれぞれの波長域の光を吸収し、電気的に興奮することで 色を感じることが出来るのです 桿体の外節にも視物質がありますが、その種類は一種類しかありません 従って、錐体がほとんど無く、桿体が多く存在する視覚周辺部は、ほとんど色を感じることが出来ません しかしながら、桿体の視物質は、光の強度に応じて段階的な化学変化を行うことで、桿体自体に光の強度に応じて 緩やかな電位変化を持つ興奮を起こさせることになります このことにより、明暗の区別は桿体が多く存在する視覚周辺部で敏感であり、桿体が少ない中心窩では鈍感なのです 実際には錐体と桿体を併せて総数一億三千万はあると言われる光感受性受容器から、視覚情報を脳に伝える たった百万しか神経繊維をもたない視神経までには網膜上に四種類の神経細胞があり、その伝達経路も簡単では ないのですが、ここでは本筋の理解に直接関係ないので割愛します 同様に、神経繊維の眼球外への出口である視神経乳頭と呼ばれる部分では光感受性受容器が一切存在せず、 盲点として知られる視覚の欠損部を網膜は持っていますが、本筋の理解に直接関係ないので割愛します つづく